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「猫VS」

07 16, 2011
せっかくの三連休ですので、短文を書けるだけ書いてうpしたいと思います。
どのくらい書けるか短文タイムアタック!

まずはテエロさんの短文です。

拍手もありがとうございましたー!
お返事は次の記事で書かせてくださいませ!


****

中庭を散歩していると、茂みから飛び出してきたヴァイルと思いっきり衝突してしまった。彼はひどく興奮した様子で、僕にぶつかってしまったことなど気にする素振りもなく、今あったことを身振り手振り説明してくれた。

どうやら猫を見つけたらしい。
ヴァイルを見るなりぴゃーと逃げていったので、ヴァイルもぴゃーと追いかけてみたが、そこへ颯爽と現れた僕にぶつかり、逃してしまったそうだ。

彼は真剣な面持ちで、猫を逃したのには僕にも責任があると言った。こうなった以上、連帯責任として二人で猫を探すしかない、と締める。

こうして、僕もやむなく猫探しを手伝うことになった。さっそく茂みをがさがさ突き進もうとするヴァイルを止めて、相手は野生動物なのだからあまり物音を立てないほうがいい、警戒されてしまう、と説得する。
彼は一旦了承して足を忍ばせたが、その視界に猫の姿を捉えるなり、再びぴゃーと走り出していった。きっと誰にも彼を止められないのだろう。

だが、ヴァイルの出陣は再び阻止されることになった。茂みから飛び出した瞬間、先程と同じように誰かに衝突する。ぶつかった相手は無事だったものの、身体の小さいヴァイルは派手に突き飛ばされ、尻餅をついた。

「い、いてて……」
「……ヴァイル様」

ぶつかった相手は、医士の制服を着た若い男だった。幾度か見かけたことのある、テエロという医士だ。彼は確か、ヴァイルの御典医のはずだ。
テエロは慌ててヴァイルを起き上がらせ、過剰なまでに心配をした。怪我をしてないか、していたら大変だ、すぐに医務室へ、などと捲くし立てる。

「大丈夫だよ、医者先生。それより猫を見なかった?」
「……猫ですか? そういえば、さっき走っていくのを見ましたが」
「それ! そいつ! 俺の獲物! 捕まえないと!」

目撃情報に興奮しすぎて、片言になっている。テエロは少し困ったような顔をして、苦言を申し出た。

「野生動物は、どんな菌を持っているか分かりません。危険ですから、捕まえるのは止めた方が」
「大丈夫だよ! ちょっと撫でるだけだし! 撫でたらすぐ手洗えばいいじゃん!」
「引っかいてくるかも……」
「じゃあ見るだけ! 近くで見るだけなら大丈夫でしょ? それとも猫って菌を飛ばしてくるの?」

ヴァイルのテンションが止まらない。その勢いに飲まれ、テエロはしばらく考え込んでから、ようやく口を開いた。

「……分かりました。私が捕まえますので、ヴァイル様は手を出さないでください」
「えー、ホント? 先生が捕まえてくれるの?」
「……ええ」

その意外な申し出に、僕は目を丸くする。無愛想な人物だと思っていたが、やはり自分の主人には弱いのだろうか。見上げた忠誠心だが、子どもの遊びに付き合う年齢でもないだろうに。

僕のそんな視線に気づいたのか、テエロは僕をちらりと見やると、不愉快そうに目を細めた。しかし、すぐに視線を外し、先陣を切るヴァイルの後を追った。

****

猫の足取りを追って進むと、木陰になった細い道でその姿を捉えた。うずくまり、何かを必死にむさぼっている。どうやら、誰かがその場所に猫の餌を置いていったようだ。

「猫、餌食ってるよ! 誰かが餌をやってんのかな? 先生、ほら先生!」
「ええ、見えてますよ。ヴァイル様は下がっていてください」

ヴァイルにせっつかれ、猫に忍び寄っていく22歳男性。なんだか涙ぐましい光景だ。しかし、随分手馴れているようで、気配を完全に殺して猫に近づくその姿は、まるで隠密の末裔のような足捌きだ。ただの医士とは思えない。

やがて手の届く距離まで近づいたとき、テエロは目にも留まらぬ速さで猫に襲い掛かった。しかし、相手は野生動物だ。機敏にその腕をかわすと、跳ねるように逃げていってしまう。テエロから随分離れた場所で立ち止まり、毛を逆立てて威嚇している。

「あーあ、逃げちゃった。なんか怒ってるよ」
「……ええ」
「医者先生、なだめて! こっちに来るよう説得して!」

……かなりの無茶振りである。猫に説得が通じるかどうかはともかく、それを試みようとするテエロもテエロだった。身を低くして目線を合わせ、猫に向かってチッチと舌を鳴らしている。大丈夫か、22歳。そこまでしなくてもいいんだぞ、22歳。

もちろん一度襲い掛かってきた相手に警戒を解くはずがなく、猫は威嚇を強めて、低い声で鳴いた。猫と本気で睨みあう22歳の背中に、ヴァイルが再び指示を飛ばす。

「先生、猫語だよ! 猫語を使って!」
「……猫語?」
「にゃー、って。猫の鳴き真似」
「…………」

もはや見ているこっちが泣きたくなるような状況だった。わざと辱めているのでは? と思うほど、ヴァイルの指示は悪意に満ちている。

「先生早く。にゃー、って。にゃあにゃあって!」
「…………」
「手を丸めて、顔の横でこうやって、にゃんにゃんって!」
「…………」
「先生早く! 逃げちゃうから! 早く!」
「…………にゃ、にゃあ」

言ったー!!
僕はついに堪えきれなくなって思いっきり吹き出した。そのせいで驚かせてしまったらしく、猫は一目散に茂みの中へ逃げていく。

テエロは数秒ほど固まっていたが、すぐに振り返って僕を睨みつけた。猫を逃してしまったことよりも、笑われたことに対する羞恥心に満ちた眼差しである。
ヴァイルはというと、僕を責めるように恨み言をこぼしたが、「でも医者先生の面白いとこが見られたからいいや」と軽快に笑ったのだった。
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